日本乳癌検診学会誌
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第33回学術総会/シンポジウム1 持続可能な乳がん検診
わが国におけるがん検診事業の現状と取組について
清水 俊来
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2024 年 33 巻 1 号 p. 15-16

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抄録

2023 年3月に「第4期がん対策推進基本計画」が閣議決定された。「誰一人取り残さないがん対策を推進し,全ての国民とがんの克服を目指す。」を全体目標としている。がん検診は,分野別目標の3本柱の1つとして位置づけられている「がん予防」の取組の1 つとして推進していくこととしている。 がん検診は当該がんの死亡率減少を目的として,無症状の健康な集団から当該がんの疑いのある者とない者を区別し,前者を適切な治療に,後者を次回の検診に導く一連のプログラムである。対策型検診としての成果を上げるためには,「科学的根拠に基づくがん検診の実施」,「適切な精度管理の実施」,「受診率向上」の3要件を満たす必要がある。 住民検診については,厚生労働省や国立がん研究センター等により,3 要件が満たされているか定期的に把握・公表される仕組みが定着しつつあるが,持続的かつ効果的な改善策の検討が重要である。一方,職域検診については,定期的なデータ把握・公表の体制構築といった基盤整備が課題となっている。 がん対策としての適切ながん検診実施のために,現在行われている対策型検診の水準を上げ,対象集団への受診勧奨とプログラムの管理・評価を行う組織型検診の構築に向け,地域・職域に関わらず全てのがん検診を効果的に行う体制についての継続的な議論が必要である。

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