日本乳癌検診学会誌
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原著
新潟県の乳がん検診精度結果における柏崎市の検診精度
植木 匡
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2024 年 33 巻 1 号 p. 79-84

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抄録

乳がん検診における検診精度向上は,被検者の不利益を減少させるために重要であ る。新潟県では2003 年度よりの市町村別の検診精度結果を公開しており,この結果をもとに柏崎市の要精検率,がん発見率と陽性反応的中度を評価した。柏崎市では2012 年度より視触診を廃止した。柏崎市の対策型検診の多くを担う医師会検診は,2012 年度よりマンモグラフィーのデジタル化と伴に比較読影を開始した。 2012 年度の前後の3 年間で比較すると,要精検率は有意に減少していた(8.60% vs 4.47%,p < 0.05)。有意ではないものの,がん発見率の減少と陽性反応的中度の若干の上昇もあった。2009 年度から2020 年度までを3 年度毎にまとめた柏崎市の検診精度の推移は,いずれの期間でも要精検率は県全体より低く,陽性反応的中度は高かった。要精検率は,2015年度以降でも差が徐々に大きくなっていた。がん発見率は,一時的に県全体より低くなった。陽性反応的中度は,2014 年度までは差が少なく,2015 年度以降で5.9%以上と差が大きくなった。 柏崎市では検診に関わる施設のメンバーが集まる検診委員会が検診の調整を行ってきた。さらに,検診委員会にて各施設の連携と精度結果の共有を行うことにより検診精度向上を目指している。新潟県の市町村別の検診精度結果は情報の共有に有用な資料であった。

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