2024 年 33 巻 1 号 p. 75-78
マンモグラフィ検診において偽陽性となる要因のひとつに局所的非対称性陰影(FAD)がある。ポジショニング不良で乳腺を十分に伸展させることができなかった場合,偽のFAD が描出される。さらに,マンモグラフィ上の乳腺伸展性は医師や診療放射線技師によって視覚的に評価されており,個人の経験に依存する。本研究では診療放射線技師14 名を対象にROC 実験を行った。実験には51 枚のMLO 画像を使用し,1 枚単独での評価と参考画像ありの場合の連続評定実験を実施し,評価の一致度と正確さを比較した。単独評価ではKappa 係数0.63,平均AUC 値0.74 であり,参考画像ありの場合はKappa 係数0.66,平均AUC 値0.82 であった。同一被検者の参考画像を用いることで,乳腺伸展性の評価の一致度と正確さが向上したが,観察者によって乳腺伸展性評価にばらつきがみられた。