日本乳癌検診学会誌
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群馬県における乳癌検診の現状から, 乳癌死亡率の低下を期待するには自己触診の啓蒙により受診率の向上につなげる必要がある
饗場 庄一遠藤 敬一狩野 貴之菊地 麻美堀口 淳鯉淵 幸生飯島 耕太郎吉田 祟高他 大輔飯野 佑一森下 靖雄石田 常博横江 隆夫
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2005 年 14 巻 3 号 p. 259-267

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抄録

群馬県の集団検診は対ガン協会 (現在の群馬県健康づくり財団) の時代から群馬大学第2学科とその関連病院外科との連携で実施されてきた。昭和56年から平成16年3月までの24年間の検診者総数は907,204名で, 718名の乳癌患者を発見してきた。その年齢分布は50歳代をピークに60歳代, 次いで40歳代, 70歳代である。マンモグラフィ (MMG) の併用は平成13年度から実施された。集団検診に参加している市町村は群馬県内70市町村のうち64市町村で, このうちMMG併用検診は13年度には15市町村 (実施率23.4%), 15年度31市町村 (48.4%) と増加して, 16年度は45市町村 (70.3%) で実施中で, 17年度は61市町村 (88%) の予定である。従来の視触診単独検診での発見率よりも明らかに増加するとともに手術時の腫瘤割面の計測結果からも縮小を認めた。今後はMMG併用検診の受診者を如何に増加させるかが課題である。また, 昭和55年以来の集団検診発見乳癌の臨床病期分類を5年毎に比較した。一方, 県内の癌登録にみる乳癌患者数は460名で, 病院を受診した経緯からみると検診の結果からが46名 (10%) のみで, 有症状者が265名 (57.6%) と多く, 検診対象者の受診率があまりにも少ないことがわかる。また自己検診の実施者・非実施者を初めての検診受診者と毎年の反復受診者および各年齢階層別に調査したが, 何れでも実施率が低い。自己検診励行の啓蒙で乳癌に対する意識を高めることで受診率向上を計り, MMG併用検診の有効性も説得して検診事業に協力を得ることが社会的にも行政的にも重要な課題である。

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