日本乳癌検診学会誌
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乳癌死亡を減少させる乳癌検診
伊藤 末喜安藝 史典金子 昭山川 卓杉本 健樹
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2006 年 15 巻 1 号 p. 56-62

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抄録

過去に続けてきた視触診検診の経験, データ分析から, 増加が続いている乳癌死亡をどうすれば減少させることができるかを検討した。
県下30歳以上の対象婦人の延べ987,200名, 実人数163,538名の検診を行った。これは対象婦人の55%の者が, 1人平均6回の検診を受けたことになる。発見乳癌711名 (発見率0.08%) の早期率は56.8%であった。また, 検診では余波効果も見られた。
検診開始前の高知県乳癌のSMRは90~95であったが, 受診率が15%に達すると, 80に低下し推移している。1980年から2000年に期間を区切った検討から, 受診率が20%になるとSMRは70に低下し, 乳癌死の増加が食い止められるものと思われた。
2003年度で視触診検診を中止し, 集団方式ではマンモグラフィ二方向単独検診とし, 個別方式では基準を満たした撮影装置と資格のある技師, 医師のいる施設に於いて, マンモグラフィと視触診の併用検診を開始した。
この検診のすべり出しは順調であり, 早い時期に受診率20%を達成し, 25%を目標にして前進したいと考えている。

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