日本乳癌検診学会誌
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乳癌死の減少を目指した乳癌検診システムの確立を目指して
笠原 善郎広瀬 真紀市橋 匠田中 文恵城崎 彦一郎
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2006 年 15 巻 1 号 p. 50-55

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抄録

乳がん検診の最終目標は乳がん死の減少であり, この目標達成のために必要なことは, 1) 明確な目標設定, 2) 資源 (人, 物, 金, 情報) の適正配置, 3) よいシステム構築, 4) 計画・実行・評価・改善 (PDCAサイクル), の継続的施行にある。さらに, 精度の高い撮影と読影はもちろんのこと, 適正な集団を対象として設定し, 地域性を勘案したよい検診システムを構築すること, データを高い精度で管理し評価して, 精度の高い癌登録と照合することなどが重要な問題である。
福井県の現状を分析すると, 資源配分の面で精検段階の配置は適正であるものの, 一次検診における技師と機器の配分が不均等であった。情報に関しては, 集検データは高い精度で県下一元管理され, 評価されていた。また, バス検診方式による検診システムは地域的および経済的面で効率的に機能していると判断された。癌登録の精度も高く, PDCAサイクルは適正に機能することが示唆された。ただし, 最終目標に至るには, 受診率向上に対する取組みが必須で, 受診率50%に対応するシステム作りと職域検診との連携が課題であった。

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