日本乳癌検診学会誌
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日本人女性の乳癌検診受診行動の促進要因と阻害要因の検討
小林 志津子斉藤 繭子片岡 明美大野 真司中村 清吾福井 次矢小山 弘新保 卓郎
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2006 年 15 巻 1 号 p. 69-74

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抄録

【目的】日本人女性の乳癌検診受診の促進因子と阻害因子を解明し, 受診率向上のための対策を提言する。
【研究デザイン】半構造化面接による質的研究。
【施設】聖路加国際病院, 国立病院機構九州がんセンター。
【対象】上記施設の女性乳癌患者。
【調査方法】平均30分の個別インタビューを音声記録資料で記録。
【解析方法】コード化した記録資料を, 回答者の体験による受診の阻害因子と促進因子, 回答者が予想する阻害因子と促進因子の4項目に分類。
【結果】21名に参加を依頼し, 17名が承諾した。13名の調査で理論的飽和に達した。回答者の体験による受診の阻害因子は, 自分とは無縁の疾患という思い込み, 知識不足, 多忙, 医療への不信感, 検査への差恥や嫌悪, 罹病への恐怖であり, 促進因子は乳腺症の既往歴, 乳癌の家族歴, 家族の勧めだった。回答者が予想する阻害因子は, 検査の痛み, 通知方法, 費用, 受診時間であり, 促進因子は, 女性の医師と検査技師の担当, 乳癌の発症率や経過や治療費用に関する知識の普及だった。
【結語】多くの患者に共通した阻害因子は自分が乳癌に罹患するはずがないという思い込みだった。受診率向上のために乳癌の知識と早期発見の有効性を広く普及する必要がある。

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