日本乳癌検診学会誌
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検診施設における品質管理の実態-超音波-
白井 秀明
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2006 年 15 巻 3 号 p. 260-267

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抄録

検診施設における品質管理を, 検者間差がなく, 常に一定レベル以上の異常所見の指摘と, その特徴を捉えた画像の提出ができることと定義し, 当院で行っている乳癌検診に適した超音波診断装置の基準やその画像調整に加え, 再現性の良い検査法の具体的な取り組みについて報告する。
乳癌検診での超音波検査の目的は, 限られた時間で多くの被検者に対して検査を施行し, 効率よく病変の有無を検索することにより, 画質を多少犠牲にしてもリアルタイム性を確保することが重要であり, 特に1) 探触子の中心周波数, 2) ゲイン, 3) ダイナミックレンジ, AGC, 4) STC, 5) フォーカスの画質設定の効果が高いと考えている。
また, 探触子を皮膚に対して常に垂直にあたるように操作することが品質管理においては重要なことである。その対策として, 患者の体位を工夫し, 検者が安定した体勢で検査を行うこと, 合わせてエコーゼリーの使い方や探触子の操作スピードについても注意が必要であり, 当院では簡単に垂直にあてられ, 一定速度で検査を行うため探触子にアダプタをつけることで同一品質の画像が得られやすくなったと考える。
超音波検診における品質管理の実態として, 未だ統一された基準がないのが現状であり, 多くの部分で検者間の熟練度による手技の差が, 職人技の1つとされていたことも否定できないが, このような品質管理を行うシステムの構築は客観性向上に対しても寄与できるものと期待される。

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