簿記研究
Online ISSN : 2434-1193
青色申告制度と正規の簿記の原則
小川 晃司
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2021 年 4 巻 2 号 p. 8-18

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抄録

青色申告制度に規定された「正規の簿記の原則」は,「企業会計原則」の「正規の簿記の原則」から導入されたが,「企業会計原則」の「正規の簿記の原則」には多くの解釈があり,その概念は未だに明らかでない。両概念について,ドイツのGoB概念である不確定法概念の理解に基づけば,次のように整理することができる。①「企業会計原則」の「正規の簿記の原則」の概念は,誘導法等を要件とする正確な会計帳簿および財務諸表の作成に関する会計行為の形式的枠組みを定めた原則である。②税法の「正規の簿記の原則」の概念は,法制化されたものを含む,正確な会計帳簿および貸借対照表,損益計算書の作成に関する記録と形式を定めた原則である。③両概念は,いずれも「形式的原則」のみによって構成される。ただし,「企業会計原則」および税法の「正規の簿記の原則」の概念は,両制度における目的等(場の条件)によって異なるものであるとの結論を得た。

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2021 日本簿記学会
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