2020 年 10 巻 1 号 p. 64-68
〔要旨〕症例は99歳,男性。3日前からの腹痛・嘔吐を主訴に近医を受診し腸閉塞の診断で坂出市立病院へ紹介となった。 CT検査では右腹部にwhirl signを,左腹部に拡張した腸管を認めた。画像上捻転部位の同定は困難であったが絞扼性腸閉塞の診断で緊急手術を施行した。うっ血して著明に拡張した腸管の捻れを解除すると,捻転していたのは回腸末端から上行結腸であり,後腹膜への固定不良を認めた。血流障害による遅発性の穿孔や再発を危惧し,結腸右半切除術を行った。術後 19日目に退院した。上行結腸軸捻転症の発症頻度は,結腸軸捻転症のうち5.9%とまれで術前診断も困難とされるが,絞扼から腸管壊死や穿孔を起こすと重症化するため,迅速で適切な対応が必要であると考えられた。