抄録
〔要旨〕症例は27歳,女性。分娩1カ月後,近医での子宮内容除去術の際に子宮穿孔をきたし,小腸が子宮内に脱出したため当センター搬送となった。子宮内に脱出した小腸は膣外へ脱出し,緊急手術となった。手術所見では回腸末端から口側50~75cmの回腸が子宮内に脱出,嵌頓をきたし,小腸部分切除術と子宮縫合術を施行した。摘出検体の回腸穿孔部近傍にメッケル憩室を認めた。子宮内掻爬で子宮を全層に損傷し,子宮内へ迷入したメッケル憩室を子宮内容物と誤認し牽引したものと推察された。子宮内容除去術により子宮穿孔をきたし,メッケル憩室が併存していた回腸嵌頓・穿孔の症例報告はこれまでになく,文献的考察を加え報告する。