抄録
【背景および目的】頭蓋内内頸動脈塞栓性閉塞に対する二連吸引手技(RAT)を用いた緊急機械的血栓除去術(EME)の有用性を明らかにする.【方法】当院入院の急性期虚血性脳血管障害連続1105例中のEME実施例を対象とし,背景因子,併用手技,成績を検討するとともに,RAT導入前後での成績を比較する.【結果】EMEは8例で実施され全例rtPA静注禁忌であった.RAT導入後の5例中3例では併用手技なしに完全再開通を得たが,残りの5例では血栓把持術と血管拡張術を併用した.大量血栓回収,backflow出現,完全再開通は,RAT導入前の3例では1,0,0例,RAT導入後の5例では5,5,4例にみられた.重篤な合併症や症候性頭蓋内出血はなく,RAT導入後の完全再開通4例は予後良好(modified Rankin scale≦2)であった.【結論】頭蓋内内頸動脈塞栓性閉塞に対するRATを用いたEMEは有用である.