抄録
〔要旨〕症例は76歳男性。4日前より排便がなく,意識障害,体動困難で救急搬送された。来院時ショック状態で,腹部は緊満していた。CT検査で大腸を中心とした著明な腸管拡張を認め,腹部コンパートメント症候群および敗血症性ショックと診断した。緊急で腹腔減圧術を行い,vacuum assisted closure法を用いたopen abdomen management(OAM)で手術を終了した。集中治療管理を行い,第3病日に循環不全は改善するも誤嚥性肺炎および無気肺による重度呼吸不全を認めたため,OAM中ではあるが腹臥位療法を行い,呼吸不全を離脱した。OAM中でも腹部が平坦化するような症例では,循環動態やデバイス類の取り回しに注意を払い,腹腔内圧をモニタリングできれば腹臥位療法は治療選択肢の一つとなりうる。