Japanese Journal of Acute Care Surgery
Online ISSN : 2436-102X
症例報告
複数科による連携・集学的治療により救命した会陰部刺創による尿道,直腸損傷の1例
新垣 滉大寺坂 壮史木村 隆一郎吉田 真樹中村 豪日髙 秀樹大内田 次郎大友 直樹
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2024 年 14 巻 p. 84-88

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抄録
〔要旨〕症例は50代,男性。二人組に襲撃され,会陰部を中心に複数箇所を刃物で刺され救急搬送となった。来院時はショックバイタルであり,臀部の創は下部直腸を貫通して尿道断裂をきたしていた。直腸はほぼ半周にわたり全層性の壁損傷を認めた。また,両側内腸骨動脈からの出血を認めたため,経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization;TAE)を先行した。バイタルサインが安定したのち手術室へ搬入し,尿道断裂および陰囊切創に対して泌尿器科が,皮膚切創に対して整形外科が手術を行った。外科は審査腹腔鏡で腹腔内の損傷がないことを確認した後に,S状結腸で人工肛門造設を行った。会陰損傷は複数臓器の損傷をきたすため,正確な外傷の評価および複数科による総合的な加療を要する。
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© 2024 日本Acute Care Surgery 学会
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