抄録
1) リンゴ樹におけるハダニおよび昆虫群集の水平構造を明らかにし,群集構成種の季節的移動,相互関係などについて二,三の考祭を行った。
2) 群集の構成を方位別にみると,南面の個体密度が最も大で,西,北,東面および中央部の順に小となっている。しかし種数の分布は必ずしも上と一致しない。
3) 5月より10月末までのリンゴ樹における群集の動きに3つの山がみられ,南,西面の群集の変化がこれと最も並行性を保つ。群集の方位別変遷は下表のとおりである。
4) リンゴ樹の枝葉間の気象条件のうち,温度,湿度,照度,日射量をみると,東面においては他よりも高温,低湿,高照度でかつ日射量大となっている。この場合高温と個体密度の間には必ずしも並行性がみられない。
5) 調査期間内では群集構成種間の季節的水平移動は著しくない。なお害虫と天敵との間に二三の相互関係がみとめられた。