日本応用動物昆虫学会誌
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ハナカメムシの1種が大豆のアブラムシ類の密度消長におよぼす影響
多食性捕食虫とその食餌動物の相互関係の一例
奥 俊夫小林 尚
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1966 年 10 巻 2 号 p. 89-94

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抄録

1. 1963, 1964両年に盛岡市の大豆畑で,Orius sp.は7種以上の節足動物を捕食し,中でもアブラムシ類,ハダニ類,次いでアザミウマ類を多く捕食した。
2. Orius sp.の成虫は7月中旬から圃場に現われ,8月下旬∼9月上旬に最盛期に達し,大豆の成長完了後しだいに減少した。
3. Orius sp.のダイズアブラに対する捕食効果はハダニ類が多発すると低下し,そのためハダニ類が早期に多発するとダイズアブラは高密度を保ち,ハダニ類の発生が遅れるとダイズアブラの密度はOrius sp.の捕食によりハダニ類が多発するまで抑圧された。
4. ジャガイモヒゲナガアブラは,ダイズアブラ又はハダニ類より密度が低く経過し,寄生状態もより分散的であるため,Orius sp.によって集中的に捕食をうけることがなく,秋期にゆるやかに増殖する傾向があった。

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