1967 年 11 巻 2 号 p. 50-56
ツマグロヨコバイの水稲葉面における口針の挿入開始部位は,一般に中葉脈の両側にある気孔細胞付近が多く,機動細胞や小葉脈上には少ない。しかし2令幼虫では中葉脈上に多かった。
高圧電気ショック法を用い,植物体に口針を挿入したままの状態で殺し,切片によって植物組織内への挿入状態を調べた結果,ツマグロヨコバイの口針は,左右方向には自由に曲げることができ,口針の先端は維管束,すなわち篩管部ないし導管部に到達しているものが多かった。その際口針の進入にともなって,根状の唾液鞘が形成される。また口針の維管束への到達割合を透視法によって調べたところ,平均70.3%のものが維管束に,29.7%のものが葉肉内に挿入されていた。このことから本種の摂食習性はいわゆる維管束タイプに属するものと思われる。