1) トビイロウンカの雌においては,飼料あたりの虫数が少い場合に短ばね型出現率が高くなり,空間あたりの集合は短ばね型出現を抑制していない。ヒメトビウンカの雌では飼料あたりの虫数が少ないことが短ばね型出現の第一条件であるが,空間あたりの虫数が多いことによって短ばね型出現が抑制される。トビイロウンカの雄においては空間あたりの集合が短ばね型出現を促進するが,飼料あたりの集合はこれを抑制する。ヒメトビウンカの雄の短ばね型は著者の行なった実験方法ではごくまれにしか出現しなかった。
2) 衰弱した芽出しイネでの単独飼育では両ウンカとも雌も雄も短ばね型の出現が全くないか,ごくわずかであった。
3) ヒトメビウンカにおいて管壁を隔てての視覚による相互認識がはね型に影響するという証明は得られなかった。
4) 幼虫の芽出しイネ上での分布の仕方は,両ウンカとも1令のみに同一芽出しイネへの集中性が見られた。