日本応用動物昆虫学会誌
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キャベツ株内でのモンシロチョウ,ヨトウガおよびタマナギンウワバの幼虫と蛹の葉位別分布
平田 貞雄
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1967 年 11 巻 3 号 p. 107-113

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抄録
キャベツ株内でのモンシロチョウ,ヨトウガおよびタマナギンウワバの幼虫と蛹の葉位別分布を調べた。
3種とも1, 2令虫は産卵部位に支配されて中位の葉の裏側に多かったが,その後の幼虫の分布は種によって次のように異なった。
モンシロチョウ:3令虫から分布が次第に上位葉へ移り,また葉表に現われ,葉表在虫率は5令虫では約80%であった。蛹は下位葉の裏に分布した。以上のような葉位別分布は株当り幼虫密度によっては変化しなかった。
ヨトウガ:3令虫から上位葉へ移る傾向が見られ,5令虫の一部と6令虫の大半は結球内にはいった。また1∼5令虫はほとんど常に葉裏に分布した。以上のような分布の求心的な変化は株当り密度が高いと促進された。蛹はキャベツ株内では見られなかった。
タマナギンウワバ:多くのものは同じ葉の裏側で生活し,したがって令が進んだ幼虫ほど下位葉に多く分布した。蛹化もその場で行なわれるようであった。ただし4個体について生活場所を連日観察したところ,2個体は一時期に2, 3枚上の葉へ移動した。
3種について,上述のような分布の様子はどの時期でも同じであった。また種間で影響し合うということはなさそうであった。
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