抄録
千葉県農業試験場内のレタス圃場でタイワンヒゲナガアブラムシとモモアカアブラムシの株あたりの分布を調査して次の結果を得た。
1) 両種とも強い集中分布をしていることが示唆されたが,集中度(Iδ)と平均値の間には特別な関係は認められなかった。
2) 秋の調査時におけるタイワンヒゲナガとモモアカの集中度は異なり,前者の方が大きいことが認められた。また,同じタイワンヒゲナガでも春と秋の調査ではその集中度は異なり,秋の個体群の方が大きいと言う結果が得られた。
3) Iδから必要標本数の推定を試みたところ,一定精度を保障するためには平均値xが1.0∼1.5のとき,200株以上が必要であった。
4) いずれも負の二項分布に適合した。共通のkを求めたところ,タイワンヒゲナガの秋の個体群で平均値x≤1.5の資料を用いた場合のみ0.0331という共通のkが得られた。
5) このkの値を用いて,タイワンヒゲナガについて,0項の頻度による平均個体数の推定法と逐次抽出法の適用を試みた。
6) 両種のアブラムシとも,寄生株率と個体数との間に直線関係が認められ,寄生株率から個体数を推定する方法も検討した。