日本応用動物昆虫学会誌
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16 巻, 2 号
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  • III. 神経分泌細胞の軸索と側心体
    河野 義明
    1972 年 16 巻 2 号 p. 59-66
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    脳に存在する各神経分泌細胞の分泌果粒の大きさを目標にして,その軸索を追跡した。
    神経分泌細胞軸索は脳髄質内で他の神経とシナプスを形成している。そして,I型およびII型神経分泌細胞の軸索は側心体神経Iを経て,IV型神経分泌細胞の軸索は側心体神経IIを経てそれぞれ側心体に達し,そこに軸索末端を形成することが確認された。
    軸索末端にはその膜にそって直径約50mμのシナプス小胞が集まっている部分が見られ,電子密度の高い分泌果粒のほかに,電子密度は低いが分泌果粒と等しい大きさの果粒が存在する。この部分が神経分泌物の放出像であろうと考えられるが,さらに,脳ホルモンが多量に分泌されている時期である非休眠個体,蛹化直後には,軸索末端近くに空胞が現われ,そこに分泌果粒,シナプス小胞が集っており,他の時期とは様式の異なる分泌物の放出も考えられる。
  • 高井 昭, 原 敬之助, 稲生 稔
    1972 年 16 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ツマグロヨコバイ越冬幼虫個体数の変動とその調査法について検討した。
    越冬幼虫の個体数調査法としてワク内すい取り法を用い,時間単位採集法を併用した。
    越冬世代の卵およびふ化直後の幼虫の死亡には,気温の影響が大きく働らいていると考えられる。
    各年および各調査地区とも越冬幼虫の主要な死亡時期は12月から1月上旬であった。越冬後の幼虫の令構成は4令が主体であった。
    越冬幼虫の個体数調査法である吹き飛ばし法の採集効率は20∼50%で,ワク内すい取り法にくらべて採集効率が低く,また採集時の気温が大きく関与していた。
    冬季間においてもクモ類はツマグロヨコバイの捕食者として重要な位置にあると推定された。
  • 大津 正英
    1972 年 16 巻 2 号 p. 75-78
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    越後山系の飯豊山の北側と,朝日岳の東側,すなわち山形県側の山麓地帯で,1968年12月から,1971年2月までの3猟期(12月1日から翌年2月15日まで)内に捕獲したテン51個体の,胃の内容物を調査した。
    その結果,胃の内容物は,鳥類が3種類,哺乳類が3種類,および植物の漿果が2種類であった。
    胃の内容物で,多くみられたのは,ヤマドリとトウホクノウサギであり,それぞれ,全体の25%と35%の個体にみられ,その重量は,それぞれ,47%と30%であった。植物では,カキの実が,より多く,全体の11%の個体にみられ,その重量は,全体の8%であった。
    なお,テンの生息密度は,農林省の狩猟統計書の捕獲数から,漸時減少の傾向がみられる。
  • 垣矢 直俊, 桐谷 圭治
    1972 年 16 巻 2 号 p. 79-86
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    固定飛しょう法を用いてツマグロヨコバイ成虫の飛しょう能力に及ぼす羽化後の経過日数(実験I),親の産卵開始後の日齢(実験II),飼育密度の影響(実験III)を調べた。
    実験Iの飼育は25°C,24時間照明下で,実験II, IIIのそれは30°C,16時間照明下で行ない,飛しょう実験は30°Cの恒温室内で,固定したテグスの一端に試験虫の前胸背板を固定し,上方より螢光燈で照明,前方より扇風機で1-2m/secの風を送りながら行なった。
    羽化後,雌では2日目,雄では4日目より飛しょうを始め,雌雄とも羽化後約8日目に飛しょう時間,飛しょう虫率ともピークに達した。この時期は産卵開始日(平均9.7日)の少し前であった。
    親の日齢の影響は若齢の親(産卵開始後1-3日目),中齢の親(6-8日目),老齢の親(9日目以後)に産卵された卵をとり,それに由来する子世代間で飛しょう能力と生理的諸形質(幼虫期間,成虫寿命,総産卵数,日当り産卵数,後翅幅/後脚脛節長)との関係を比較した。若齢の親に由来する子世代では飛ぶ個体は飛ばない個体に比べ,生理的形質の悪化がみられたが,老齢の親に由来する子世代ではその関係が逆転していた。したがって若齢の親に申来する子世代で定住型と移動型の分化がみられるが老齢の親に由来する子世代では単にvigourの強い個体がよく飛ぶということが推察された。
    幼虫期の飼育密度を変えた個体間では集合区(チューブ当り5頭)の個体が単独区の個体に比べ飛しょう能力が高かったのに対し,生理的諸形質がすべて劣っていた。このことから幼虫期の集合飼育は定住型と移動型の分化を促すものと思われる。成虫期の飼育密度の影響は飼育密度が低かったせいもあってはっきりしなかった。
  • 藤家 梓
    1972 年 16 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    千葉県農業試験場内のレタス圃場でタイワンヒゲナガアブラムシとモモアカアブラムシの株あたりの分布を調査して次の結果を得た。
    1) 両種とも強い集中分布をしていることが示唆されたが,集中度(Iδ)と平均値の間には特別な関係は認められなかった。
    2) 秋の調査時におけるタイワンヒゲナガとモモアカの集中度は異なり,前者の方が大きいことが認められた。また,同じタイワンヒゲナガでも春と秋の調査ではその集中度は異なり,秋の個体群の方が大きいと言う結果が得られた。
    3) Iδから必要標本数の推定を試みたところ,一定精度を保障するためには平均値xが1.0∼1.5のとき,200株以上が必要であった。
    4) いずれも負の二項分布に適合した。共通のkを求めたところ,タイワンヒゲナガの秋の個体群で平均値x≤1.5の資料を用いた場合のみ0.0331という共通のkが得られた。
    5) このkの値を用いて,タイワンヒゲナガについて,0項の頻度による平均個体数の推定法と逐次抽出法の適用を試みた。
    6) 両種のアブラムシとも,寄生株率と個体数との間に直線関係が認められ,寄生株率から個体数を推定する方法も検討した。
  • 非塩素系殺虫剤への移行と殺虫剤散布量軽減のための具体的試み
    桐谷 圭治, 井上 孝, 中筋 房夫, 川原 幸夫, 笹波 隆文
    1972 年 16 巻 2 号 p. 94-106
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    水稲害虫の総合防除の第1段階として,クモ類などの天敵類に影響の少ない,殺虫剤を用い散布回数と散布濃度の両面から,散布量を減少させる試みを行なった。
    1) 1969年にはニカメイガ防除剤としてBHC剤から有機燐剤(MEP,ダイアジノン剤)への移行の試みを行なった。その結果,有機燐剤の方がニカメイガに対する防除効果が高く,収量も慣行防除田よりは,増収が期待できることが実証された。
    2) 1970年にはクモ類に影響の少ない殺虫剤を用い,慣行より1∼2回少ない散布回数による防除を試みた。その結果,クモ類に影響の少ない薬剤の方がウンカ・ヨコバイ類に対する防除効果は高く,慣行より1∼2回防除回数を減らしても収量は慣行よりも高いことが実証された。
    3) 1971年にはクモ類に影響の少ない薬剤を,慣行より1∼2回散布回数を減少させたうえ,散布濃度を2分の1に減少させて防除を試みた。その結果,ニカメイガは発生が少なく防除効果を判定できなかったが,ウンカ・ヨコバイ類の防除は可能であり,収量も慣行防除田と同等であった。
  • 1972 年 16 巻 2 号 p. 106
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 小久保 醇
    1972 年 16 巻 2 号 p. 107-109
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 大兼 善三郎
    1972 年 16 巻 2 号 p. 109-111
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 村越 重雄
    1972 年 16 巻 2 号 p. 111-113
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 中村 和雄
    1972 年 16 巻 2 号 p. 113-114
    発行日: 1972/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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