日本応用動物昆虫学会誌
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水稲害虫の総合防除
非塩素系殺虫剤への移行と殺虫剤散布量軽減のための具体的試み
桐谷 圭治井上 孝中筋 房夫川原 幸夫笹波 隆文
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1972 年 16 巻 2 号 p. 94-106

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抄録
水稲害虫の総合防除の第1段階として,クモ類などの天敵類に影響の少ない,殺虫剤を用い散布回数と散布濃度の両面から,散布量を減少させる試みを行なった。
1) 1969年にはニカメイガ防除剤としてBHC剤から有機燐剤(MEP,ダイアジノン剤)への移行の試みを行なった。その結果,有機燐剤の方がニカメイガに対する防除効果が高く,収量も慣行防除田よりは,増収が期待できることが実証された。
2) 1970年にはクモ類に影響の少ない殺虫剤を用い,慣行より1∼2回少ない散布回数による防除を試みた。その結果,クモ類に影響の少ない薬剤の方がウンカ・ヨコバイ類に対する防除効果は高く,慣行より1∼2回防除回数を減らしても収量は慣行よりも高いことが実証された。
3) 1971年にはクモ類に影響の少ない薬剤を,慣行より1∼2回散布回数を減少させたうえ,散布濃度を2分の1に減少させて防除を試みた。その結果,ニカメイガは発生が少なく防除効果を判定できなかったが,ウンカ・ヨコバイ類の防除は可能であり,収量も慣行防除田と同等であった。
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