日本応用動物昆虫学会誌
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トビイロウンカの配偶行動
竹田 真木生
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1974 年 18 巻 2 号 p. 43-51

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抄録
トビイロウンカの配偶行動を観察し,その行動解析と交尾に関する若干の実験を行なった。
(1) 雄の接近に先だつ成熟雌の腹部上下微振動は,雄の存在による視覚刺激によって起こる。雄による雌の認識は視覚刺激が重要であると思われるが,その程度はあまり厳密なものではなかった。
未成熟雌個体は既交尾個体でみられたような交尾拒否行動をとらず,イネ苗上を移動して雄からのがれた。
(2) 両翅型の雄に両翅型の雌を選択させる組合わせを作ると,どちらの場合も短翅型の雌がよく選好された。これは短翅型の雌がイネ苗により多くとどまることによると思われた。
(3) 雌の羽化から交尾に至るまでの期間は短翅型で2∼4日,長翅型で3∼7日であった。雄では1日以内にかなりの個体が成熟を完了していた。
雄の交尾能力は短翅型と長翅型で明らかな違いがなかった。観察期間中の最高交尾回数は1日6回,全生存期間を通して21回であった。
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