抄録
マツ類の樹皮下穿孔虫であるキイロコキクイムシをアカマツ試験木を用いて飼育,各発育段階の60Coγ線に対する放射線感受性を測定した。
その結果は次のように要約される。(1)放射線の不活性化作用に対する各発育段階の感受性は,他の昆虫と同様に卵>幼虫>蛹>成虫の順に強い。(2)すべての交配組合せを通じて,成虫照射での完全不妊化線量は15 krad程度であった。(3)羽化阻止線量は5日目卵では5 krad, 3令幼虫では7 krad,蛹では12 krad以上であった。(4) 3令幼虫の不妊化線量は6 krad,蛹では8∼9 kradであった。