日本応用動物昆虫学会誌
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キボシカミキリの発生に関する生態学的研究
I. キボシカミキリの発育におよぼす温度と日長の影響
江森 京
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1976 年 20 巻 3 号 p. 129-132

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抄録

キボシカミキリの発生の地方的特異性の要因をあきらかにするために,神奈川県津久井産幼虫を人工飼料による無菌育の方法で,温度と日長条件をかえてその発育経過をしらべた。
1) 30°Cでは非常に早く発育し,長日,短日の差はあまりなく40日で5齢に達し,最も発育の早いものは50日で蛹化した。短日処理区での幼虫の死亡率は高かった。
2) 25°Cでの長日区で,ふ化直後から50∼150日で85%が羽化したが,短日区では初発がふ化後270日,羽化終了までに370日を要した。恒明区も長日区と同様の羽化消長であったが,恒暗区では280日目に2頭,320日目に1頭の羽化がみられたが残りは死虫となった。
3) 20°Cは25°Cよりも成虫の初発は若干おくれ,長日区では,ふ化後70∼290日の間に羽化がみられた。短日区では200∼300日間に65%が羽化し,他は死虫となった。
4) 15°Cでは幼虫期間は長く,長日,短日両区とも羽化はふ化後250∼350日の間であった。
5) 温度と日長条件と蛹期間との関係については,温度の低下にともない蛹期間は長くなり,また長日区よりも短日区において長くなった。30°Cまたは15°Cでは長日区と短日区との間に差異はみられなかった。また羽化成虫の体長,体重はともに長日区よりも短日区が勝っていた。

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