日本応用動物昆虫学会誌
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シロモンヤガの配偶行動と性誘引物質
藤村 俊彦
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1976 年 20 巻 3 号 p. 133-138

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抄録

1) シロモンヤガの配偶行動は処女雌の放出する性フェロモンが明らかに関与している。
2) 雌は日没5時間後より3時間半にわたって性フェロモンを放出し,雄は日没4.5∼5時間後より約4時間にわたって交尾活性を現わす。交尾は日没後7時間半よりはじまり通常2時間持続する。すなわち夜半に行なわれるタイプである。
3) 雌は性フェロモンを断続的に放出しながらほとんど飛翔せずに歩行し,雄はこれを追跡して雌に達したのち交尾し,はなはだ特異的である。
4) 処女雌は野外で雄を誘引したがそれほど多くはなく,ブラックライトと併用したトラップではブラックライト単用の約2倍の雄を誘引した。
5) 処女雌腹端の二塩化メチレン抽出物は交尾活性時の雄を高率で反応させ,野外においても雄を誘引した。
6) cis-7-tetradecen-1-ol acetateは野外では3ヵ月にわたってよく雄を誘引し,ブラックライトと併用した場合は,常にブラックライトと処女雌単用の合計の約2倍の雄を誘引した。trans異性体は全く雄に対して誘引作用を現わさなかった。
7) cis-7-tetradecen-1-ol acetateが本種の性フェロモンあるいは構成物質の一つであるかどうかという問題は今後に残された。

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