日本応用動物昆虫学会誌
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20 巻, 3 号
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  • 新井 裕, 秋山 穣
    1976 年 20 巻 3 号 p. 125-128
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. 熊谷市の桑園においてアメリカシロヒトリの生活環を調査した。
    2. 誘蛾灯への成虫の飛来は5∼6月,7∼8月,8∼9月の3回のピークが認められた。
    3. 第2世代の蛹には休眠して越冬するものと休眠しないで年内に3回目の成虫となるものとがみられた。
    4. 第2世代の非休眠蛹は8月中旬までに蛹化した個体であった。
    5. 第3世代幼虫は9日上旬∼10月上旬までみられたが,10月下旬までに老熟化したものは蛹まで発育し,越冬した。
  • I. キボシカミキリの発育におよぼす温度と日長の影響
    江森 京
    1976 年 20 巻 3 号 p. 129-132
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    キボシカミキリの発生の地方的特異性の要因をあきらかにするために,神奈川県津久井産幼虫を人工飼料による無菌育の方法で,温度と日長条件をかえてその発育経過をしらべた。
    1) 30°Cでは非常に早く発育し,長日,短日の差はあまりなく40日で5齢に達し,最も発育の早いものは50日で蛹化した。短日処理区での幼虫の死亡率は高かった。
    2) 25°Cでの長日区で,ふ化直後から50∼150日で85%が羽化したが,短日区では初発がふ化後270日,羽化終了までに370日を要した。恒明区も長日区と同様の羽化消長であったが,恒暗区では280日目に2頭,320日目に1頭の羽化がみられたが残りは死虫となった。
    3) 20°Cは25°Cよりも成虫の初発は若干おくれ,長日区では,ふ化後70∼290日の間に羽化がみられた。短日区では200∼300日間に65%が羽化し,他は死虫となった。
    4) 15°Cでは幼虫期間は長く,長日,短日両区とも羽化はふ化後250∼350日の間であった。
    5) 温度と日長条件と蛹期間との関係については,温度の低下にともない蛹期間は長くなり,また長日区よりも短日区において長くなった。30°Cまたは15°Cでは長日区と短日区との間に差異はみられなかった。また羽化成虫の体長,体重はともに長日区よりも短日区が勝っていた。
  • 藤村 俊彦
    1976 年 20 巻 3 号 p. 133-138
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) シロモンヤガの配偶行動は処女雌の放出する性フェロモンが明らかに関与している。
    2) 雌は日没5時間後より3時間半にわたって性フェロモンを放出し,雄は日没4.5∼5時間後より約4時間にわたって交尾活性を現わす。交尾は日没後7時間半よりはじまり通常2時間持続する。すなわち夜半に行なわれるタイプである。
    3) 雌は性フェロモンを断続的に放出しながらほとんど飛翔せずに歩行し,雄はこれを追跡して雌に達したのち交尾し,はなはだ特異的である。
    4) 処女雌は野外で雄を誘引したがそれほど多くはなく,ブラックライトと併用したトラップではブラックライト単用の約2倍の雄を誘引した。
    5) 処女雌腹端の二塩化メチレン抽出物は交尾活性時の雄を高率で反応させ,野外においても雄を誘引した。
    6) cis-7-tetradecen-1-ol acetateは野外では3ヵ月にわたってよく雄を誘引し,ブラックライトと併用した場合は,常にブラックライトと処女雌単用の合計の約2倍の雄を誘引した。trans異性体は全く雄に対して誘引作用を現わさなかった。
    7) cis-7-tetradecen-1-ol acetateが本種の性フェロモンあるいは構成物質の一つであるかどうかという問題は今後に残された。
  • 林屋 慶三, 内田 由子, 西田 順
    1976 年 20 巻 3 号 p. 139-143
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カイコ幼虫消化液中に存在する抗ウィルス性赤色けい光たんぱく質(RFP)の生成機構に関して,主としてin vitroの実験系でおこなった前報までの研究成果で,その生成過程に光の存在が必須であることがわかった。本研究では,カイコ幼虫の飼育に明および暗の両区を設定して飼育し,消化液中のRFPの定量をおこなった。その結果,生体内においてもRFPの生成に光が関与していることが明らかとなった。
    次に既報のように,RFPがウィルス不活化作用を有していることから,上記明暗両区で飼育したカイコに核多角体病ウィルスを接種し,発病率を調べたところ,明区のカイコは暗区のそれにくらべて抵抗力を有することがわかった。しかして,この抵抗力の差は明区と暗区でRFPの産生量が異なることに原因すると推察した。
  • 島津 光明
    1976 年 20 巻 3 号 p. 144-150
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    野外トビイロウンカの流行病から分離したEntomophthora sp.について,その形態と簡単な培養的性質とを調べた。
    分生子梗は分岐または単条,細長いcystidiaを持つ。分生胞子は長円形で32.7×14.8μ(寄主より),または30.2×15.5μ(培地より),大小の油球を含む。仮根および休眠胞子は発見できなかった。
    本菌はSABOURAUD寒天上では空中への菌糸の伸びや分生胞子の形成は良好ではなかったが,栄養を強化した培地では良かった。SABOURAUD培地での最適培養条件はpH 6.3∼6.7,温度25°Cであった。
    本菌はその形態と寄主により従来研究が少なく類似種との区別が困難であったE. delphacisと思われた。
    本菌と形態の類似するE. aphidisとは培地上での厚膜胞子等,および培養特性,またE. dipterigenaとは培養特性により判別が可能であった。
  • 小山 光男, 若村 定男
    1976 年 20 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    性フェロモントラップを使用してハスモンヨトウ雄成虫の飛翔に関する実験を行った。平野の中心点より,マーク雄(人工飼育虫)を放し,その周囲それぞれ,1kmと5kmに円形に配置した計16台のフェロモントラップにより,誘引捕殺した。実験は,5月下旬,7月下旬,9月下旬∼10月上旬に行い,次の結果を得た。
    1) 5月下旬,7月下旬には,5km地点のトラップに,マーク雄が放飼の翌朝回収されることから,ハスモンヨトウ雄は,1夜に,5km以上飛翔する能力を有していることが認められた。
    2) 5km, 1km地点とも,野外雄の増加に伴い,マーク雄の再捕率が低下した。したがって,野外雌が多い時,マーク雄は,トラップに達するまでに,雌と交尾してしまうために,再捕率が低下すると考えられた。
    3) 風向とマーク雄再捕率の多いトラップの方向,および風速と再捕率の間には,明りょうな関係は見出せなかった。
    4) マーク雄再捕率の高いトラップは,野外雄の誘殺数も多い傾向にあり,トラップの周囲の条件が,誘殺に大きく影響することがわかった。
  • 高木 正見
    1976 年 20 巻 3 号 p. 157-163
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アゲハ蛹期の天敵としてのアオムシコバチの働きを説明するため,野外調査といくつかの室内実験を行なった。野外調査は,福岡市東区箱崎にある温州ミカンほ場で,1972年と1974年に行なった。
    1. アゲハの蛹化は毎年5月から11月にかけて連続的にみられ,アオムシコバチもこの期間中ずっと活動していた。アゲハ蛹密度は8月中旬以降急に高くなった。アオムシコバチは,少しの遅れはあったがこれにすぐ反応し,高い寄生率を示した。しかし,その後他の天敵による死亡が増加してアオムシコバチの寄生率は低下した。
    2. このアオムシコバチの寄生率が低下した時期でも,アオムシコバチのアゲハ蛹攻撃率は低下しなかった。またこの時期には,アオムシコバチが攻撃した蛹から他の寄生者が脱出してきたり,その蛹がアリに捕食されるのを観察した。
    3. 野外で採集したアゲハ蛹1頭から,平均156.2頭,最高337頭のアオムシコバチが羽化してきた。
    4. 野外百葉箱でのアオムシコバチ雌成虫の寿命は,8, 9月に羽化したもので平均1ヵ月であった。10, 11月に羽化したものは,3ヵ月の寿命のものが多く,寄主体内で越冬したアオムシコバチが翌春羽化してきた時期まで生存していたものもあった。
    5. 野外ではアゲハの5令幼虫や前蛹の上に乗っているアオムシコバチが観察されたが,アオムシコバチが寄生可能なアゲハのステージは蛹期のみで,5令幼虫期・前蛹期のアゲハには寄生不可能であった。
    6. アゲハを寄主としたときのアオムシコバチの発育零点は12.2°Cで,卵から羽化までに要する有効積算温量は213.7°C日であった。この値をもとに計算した福岡地方でのアオムシコバチの年間世代数は9世代であった。
    7. 卵巣成熟はsynovigenicな型を示し,給蜜することにより,平均約140の成熟卵を保有した。
    8. 無給蜜の場合,1雌当り産仔数は平均189.3,最高311で,この資料をもとに計算したこの蜂の内的自然増加率は日当り0.28であった。
    9. 以上の結果をもとに,アゲハ蛹期の天敵としてのアオムシコバチの働きについて考察した。
  • VII. 成虫の性比,蔵卵数の季節的変動,とくに植物上個体群と灯火飛来個体群との比較
    西垣 定治郎
    1976 年 20 巻 3 号 p. 164-166
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 宮原 義雄
    1976 年 20 巻 3 号 p. 166-168
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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