日本応用動物昆虫学会誌
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室内条件におけるミカンハダニの増殖と分散に関与する要因
安田 誠
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1978 年 22 巻 1 号 p. 12-17

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抄録

室内条件下におけるミカンハダニの増殖及び増殖過程での分散の起こり方を調査した。
1) 雌の生存曲線(lx),産卵曲線(mx)及びlx・mx曲線を求め,これから純増殖率(R0)と内的自然増加率(r)を求めた。R0は19.57,rは0.1708/♀/日であった。
2) 室内条件下での増殖は,雌成虫が1頭でも侵入すると,それ以後指数的増加傾向を示した。ピーク以後の個体数の減少も急激で,食い尽くし的増殖傾向を示すものと推測された。
3) ピーク以後の減少は,植物体上でハダニ密度が高まり(1葉当り雌成虫が40頭位),それに伴い植物体の栄養状態が悪化(被害程度別基準80∼100%)して,こみあいすぎの影響が顕著に現れて初めて引きおこされる。この時,集団的移動と思われる現象も観察された。
4) 分散の主体となるのは成虫期の個体によるものと推測された。

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