日本応用動物昆虫学会誌
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コナガの合成性フェロモンおよびその関連化合物の誘引活性
腰原 達雄山田 偉雄
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1980 年 24 巻 1 号 p. 6-12

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抄録

コナガの合成性フェロモンZ11-16: Ald, Z11-16: OAcおよびその関連化合物Z11-16: OHの雄成虫に対する性誘引活性について,ゴムキャップを保持体として使用し,キャベツ畑で試験した。
合成性フェロモンZ11-16: AldおよびZ11-16: OAcの誘引効果が最も高い混合比は,四季を通じてあまり変化がなく,おおむね5:5であった。誘引効果が最も高いゴムキャップ含浸量は,季節によって異なり,夏季には0.01∼0.1mg,冬季には0.1∼1mgであった。合成性フェロモンは,両者だけでは盛夏の高温時には活性が明らかに弱かったが,関連化合物であるZ11-16: OHをその1∼10%相当量添加することによって著しく高まった。この共力効果は,冬季にも1%相当量を添加すると現われたが,盛夏のようには顕著でなかった。
混合比5:5,総量0.1mgのZ11-16: AldおよびZ11-16: OAcに,その1%量のZ11-16: OHを添加してゴムキャップに含浸させて誘引源としたトラップには,四季を通じて処女雌成虫5頭と比べても,そん色のないすぐれた性誘引効果が認められた。この誘引効果は,夏季でも,少なくとも約40日間は持続した。
以上から,コナガの合成性フェロモンZ11-16: Ald, Z11-16: OAcおよびその関連化合物Z11-16: OHは,混合比を5:5:0.1とし,その0.1mgをゴムキャップに含浸させると,発生調査のためのトラップの誘引源として,周年的に利用が可能であると考えられる。

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