日本応用動物昆虫学会誌
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コクゾウの白米と玄米に対する産卵選好
新垣 則雄高橋 史樹
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1982 年 26 巻 3 号 p. 166-171

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抄録

コクゾウが通常の玄米,白米,およびパーボイル加工された玄米と白米に対して示す産卵選好性を比較し,その選好性を支配する因子について検討した。
コクゾウの産卵選好順位はP玄米>玄米>P白米>白米の順となった。精米度合を変えて糠の存在量を変えると,玄米の種被が少し剥げた程度の時に産卵数は最高で,無処理の玄米がそれに次いだ。そして精米度が高まり,糠の存在量が減少するにつれて,産卵数が減少した。産卵は米粒の特定の部位に集中する傾向がみられた。
玄米と白米を粉にして,産卵選好性をしらべたが,米粉中では産卵がみられなかった。米粉を固めて人工米を作り産卵数を比較すると,人工玄米では人工白米でよりも約1.7倍多く産卵された。米糠抽出物を添加した人工米では無添加の人工白米でよりもはるかに産卵数が多く,米糠にコクゾウの産卵を刺激促進する化学成分が存在すると考えられた。

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