抄録
カンシャコバネナガカメムシCavelerius saccharivorus OKAJIMAの簡易累代飼育法を確立するために代用餌および人工的な産卵場所に関する実験を行い,以下の結果を得た。
1) ソルガムを用いてふ化幼虫を飼育したところ,5齢まで発育した。また芽出しを与えた区は葉身を与えた区に比べ1齢期間が約3倍に延長した。
2) 過去に寄主植物として報告されているトウモロコシを芽出しにしてふ化幼虫の飼育を試みたが,脱皮しないまま1週間以内にすべて死亡した。
3) サトウキビの葉身を与えたところ少なくとも2世代の累代飼育が可能であった。また羽化率は第1世代で31.1%,第2世代で40%と梢頭部茎飼育の羽化率12.5%を上回った。
4) パラフィン紙を細く折って与えたところそのすきまに産卵することが観察された。