日本応用動物昆虫学会誌
Online ISSN : 1347-6068
Print ISSN : 0021-4914
ISSN-L : 0021-4914
昆虫病原性糸状菌の多糖抗原の抽出とその血清学的性状
清水 進鮎沢 啓夫
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 31 巻 1 号 p. 41-45

詳細
抄録

Beauveria bassiana血清型B1菌体から種々の方法で抗原を抽出した結果,1/15Mリン酸緩衝液(pH 7.0)で130∼140°C, 5時間の加熱による抽出物が沈降反応において最も高い抗原価を示した。B. bassiana血清型B1, Beauveria brongniartii, Paecilomyces fumosoroseus, Paecilomyces lilacinus, Paecilomyces farinosusおよびN. rileyiの菌体からも上述の方法で抗原を抽出することができた。B. bassiana血清型B1, P. fumosoroseusおよびP. lilacinusからはさらにSephadex G-100によるゲル濾過,DEAE-celluloseカラムクロマトグラフィーにより抗原の精製を行ったが,これらの抗原は多糖であった。抗B. bassiana血清型B1 blastospore免疫血清に対する反応から供試糸状菌6種はB. bassiana血清型B1, B. brongniartii, P. fumosoroseus, P. farinosus群とP. lilacinus, N. rileyi群とに大別することができた。また,菌糸にはblastosporeと共通の抗原が存在することを螢光抗体法によって確かめた。

著者関連情報
© 日本応用動物昆虫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top