日本応用動物昆虫学会誌
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ウリミバエの飛翔力と繁殖力におよぼす非遺伝的要因の解析
I. 成虫の餌条件および交尾・産卵経験
仲盛 広明
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1987 年 31 巻 4 号 p. 315-320

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抄録

ウリミバエの飛翔におよぼす成虫の餌条件および交尾,産卵の経験の有無についての実験を行った。羽化後5, 15, 30日齢虫を1∼3日間絶食させると,いずれの日齢虫とも絶食条件を与えなかった個体より低く,絶食期間が長くなるにつれ飛翔時間は短くなった。羽化5日目の若齢虫は羽化15および30日齢の個体ほどには絶食による影響を受けなかった。蛋白加水分解物と砂糖の混合割合を変えた餌を与えると羽化後5日目の若齢個体では蛋白加水分解物の混合割合のいかんにかかわらず,飛翔時間が低下することはなかった。しかし,日齢が経過するにつれて蛋白加水分解物を与えた個体の飛翔時間は与えなかった個体よりも長く,この傾向は雄よりも雌において強かった。雄の飛翔時間は交尾経験の有無によって影響されなかったが,羽化後の日齢の経過した未交尾雌の飛翔時間は,交尾を経験した個体よりも長かった。若齢期には産卵経験の有無により飛翔時間が変わることはなかった。しかし,羽化後の日齢が経過すると未産卵個体の飛翔時間は産卵個体よりも長い傾向を示した。

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