日本応用動物昆虫学会誌
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マイグレーション・トラップを用いた鱗翅目昆虫の移動調査
行徳 政比古伊藤 國彦中筋 房夫
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1987 年 31 巻 4 号 p. 350-358

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抄録
本調査では,マイグレーション・トラップを用いて鱗翅目昆虫移動の調査を行った。
イチモンジセセリの移動を奈良県葛城山で調査した。イチモンジセセリの捕獲は,多くの観察例から予測されたように,明らかに南西方向への飛翔に有意な片寄りがみられた。移動個体数は0.12∼0.43匹/m2/時程度であると推定された。
鱗翅目昆虫一般を対象として,岡山市近郊の3地点(岡山大学附属農場,津高牧場,半田山演習林)に定期的に東西,南北両方向にトラップを設置して調査した。全体で82種の鱗翅目昆虫が捕獲された。捕獲された昆虫のうち,個体数が多く飛翔方向に有意な片寄りがみられた種は,コブノメイガ,スジキリヨトウ,シロオビノメイガ,アワノメイガ,フタテンヒメヨトウ,アワヨトウの6種であった。いずれも夏季あるいは秋季に西方向へ片寄った飛翔がみられた。このうち,従来移動性であるといわれているコブノメイガ,シロオビノメイガおよびアワヨトウでは,いずれも秋に西方向へ有意に片寄った飛翔がみられ,方向移動の可能性が示唆された。
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