日本応用動物昆虫学会誌
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モモアカアブラムシの“タバコ型”と“非タバコ型”間交雑
高田 肇
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1988 年 32 巻 1 号 p. 60-62

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抄録

モモアカアブラムシのタバコ抵抗性因子と体色を支配する因子との関連を調べるため,交雑実験をおこなった。
1) 紅色のタバコ型クローンと黄色の非タバコ型クローンとの2組の交雑(I, II)によって,合計68の健全なF1クローンが得られた。F1クローンは,交雑Iではすべて紅色,交雑IIでは紅色と黄・緑色のものに分離した。
2) 調査した21 F1クローンのタバコにおける誕生後10日目の生存率は,両親クローンのそれ(交雑I:タバコ型90%,非タバコ型0%; II: 98%, 6%)の中間に散らばった。
3) 緑色の二つのF1クローンのタバコにおける生存率(52, 74%)は,宮古島と石垣島でタバコから採集した緑色クローンのそれ(それぞれ,44と64%)に匹敵した。
以上の結果から,タバコ型は非タバコ型と交雑が可能であり,タバコ抵抗性因子と紅色因子は,必ずしも不可分ではないことが明らかになった。また,タバコ抵抗性はポリジーン型であることが示唆された。

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