日本応用動物昆虫学会誌
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野外におけるホソハリカメムシの休眠覚醒
伊藤 清光
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1988 年 32 巻 1 号 p. 63-67

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抄録

野外の網室で越冬させたホソハリカメムシをさまざまな時期に25°C, 16L-8D(長日条件)あるいは12L-12D(短日条件)に搬入して,休眠覚醒条件を検討した。長日条件下へ9∼11月に搬入した場合,雌は産卵までに約80日,12∼2月では約60日を要した。3月以降は徐々に日数は減少し,5月搬入虫では非休眠成虫の産卵前期間と同じ24日となった。3月および4月に短日条件に搬入した場合,ほとんどの雌は産卵を行わず,これらの時点でも依然として短日に反応する性質を保持していた。2月および3月に休眠覚醒臨界日長を調べた結果,いずれも13∼13.5時間と推定された。これらの結果から,自然条件下でのホソハリカメムシ越冬成虫の休眠覚醒のためには,冬を経過した後も,温度条件だけでなく日長条件も満たされなければならないものと考えられた。

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