日本応用動物昆虫学会誌
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子葉切除によるダイズのハト害の被害解析と減収量の推定
松岡 茂中村 和雄
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1991 年 35 巻 1 号 p. 13-22

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抄録

ダイズのハト害が収量に与える影響を明らかにするため,生育期間の異なる2品種のダイズを使い子葉の切除実験を行った。また,被害解析と被害程度のデータからハト害を受けたダイズの収量予測を行った。
1) ダイズの生長に対する子葉切除の影響は,切除した子葉の枚数が多いほど,また切除する時期が早いほど大きかった。
2) 子葉切除の影響は,生育初期にとくに大きいが,生長とともにその遅れは回復していった。しかし,生育期間の短い早生品種では,初期生育の遅れが回復しないうちに収穫期をむかえることがあった。
3) 子葉切除の影響は,分枝数,節数,葉数などでは小さく,生育途中で対照区の測定値との間に統計学的有意差がみられなくなった。しかし,草丈や生重量への影響は大きく生育後期まで生長の遅れが顕著であった。
4) 収量への影響では,生育期間の短い品種で大きく,それが長い品種ではそれほど大きくなかった。
5) ハト害を受けたダイズ(エンレイ)の収量は,加害時期が出芽直後から子葉展開中まででは,被害がない場合の26∼53%,子葉が展開した直後では73%,本葉展開中以降では99%と推定された。したがって,ダイズのハト害の要防除期間は播種後から本葉展開までといえる。

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