日本応用動物昆虫学会誌
Online ISSN : 1347-6068
Print ISSN : 0021-4914
ISSN-L : 0021-4914
コナガPlutella xylostella蛹体内より分離した氷核活性細菌
金子 順一喜多 孝一丹野 皓三
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 35 巻 1 号 p. 7-11

詳細
抄録

ダイコンの発芽種子で飼育したコナガの蛹を5°Cで予冷すると過冷却点(SCP)の高い個体が増加すること,無菌飼育をした個体ではこの現象がみられないこと,などの結果からその原因が消化管内の氷核活性細菌であろうという推定を既報で行っていた。この推定を確かめるため,蛹体内から氷核活性細菌の分離を試みた。
1) 高いSCPを示した5頭のコナガ蛹体内から719の細菌菌株を分離し,それらの氷核活性(INA)を調査したところ,1頭から分離した3菌株が活性を示した。他の4個体からはINAをもった細菌は検出されなかった。
2) 分離された細菌3菌株のINAは,5°Cの予冷(1∼7日間)を行ったときに現れ,予冷のない場合にはほとんどみられなかった。この結果は,予冷によってSCPの高いコナガ蛹個体が増加するという前報の結果と符合している。
3) 分離された細菌3菌株は,淡黄色,半透明,円形,表面に光沢のあるコロニーを形成,運動性があり,オキシダーゼ活性陰性などの性質をもったグラム陰性の桿菌で,Erwinia属菌であると考えられた。

著者関連情報
© 日本応用動物昆虫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top