日本応用動物昆虫学会誌
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クロハラカマバチHaplogonatopus atratus ESAKI et HASHIMOTO (Hymenoptera: Dryinidae)の発生形態および産卵特性
阿部 芳彦小山 健二
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1991 年 35 巻 1 号 p. 57-63

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抄録

ヒメトビウンカ,セジロウンカおよびトビイロウンカに対して捕食・寄生性を示すクロハラカマバチの発生形態および産卵特性について観察した。発生初期に一対のローブが胚先端部に形成され,これが寄主体腔内へ伸長して胚へ栄養を供給しているように考えられた。胚は約8日かけて寄主体外に突出するまで発育し,突出後脱皮して完全な幼虫体が形成された。クロハラカマバチの成虫は捕食対象としたヒメトビウンカ幼虫にも産卵し,捕食後産卵済の死体を放棄すると考えられた。クロハラカマバチはセジロウンカ幼虫を捕食するが,産卵は認められなかった。トビイロウンカ幼虫には産卵が認められたが,産下卵は寄主の生体防御反応により包囲されて死滅すると考察された。しかし,発生過程の進行はヒメトビウンカに産下された卵より顕著に早く,生体防御反応に対する対抗反応のように考えられた。

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