日本応用動物昆虫学会誌
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ミナミキイロアザミウマ,カンザワハダニ,ワタアブラムシに対するハナカメムシOrius sp.の捕食特性
永井 一哉
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1991 年 35 巻 4 号 p. 269-274

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抄録

室内実験において,露地栽培ナスの主要な害虫であるミナミキイロアザミウマ,カンザワハダニおよびワタアブラムシに対するハナカメムシの捕食量および餌選択を調べた。
1) ハナカメムシ雌成虫はミナミキイロアザミウマ成幼虫,カンザワハダニ雌成虫およびワタアブラムシ幼虫を捕食したが,ミナミキイロアザミウマの卵は捕食しなかった。ミナミキイロアザミウマ2齢幼虫を与えた場合,ハナカメムシ1齢幼虫,3齢幼虫,5齢幼虫および雌成虫の25°C, 16L-8Dにおける24時間当りの捕食量はそれぞれ3, 11, 13および22匹であり,ミナミキイロアザミウマ成虫を与えた場合,ハナカメムシ雌成虫の捕食量は26匹であった。
2) 同じ条件下で,ハナカメムシ雌成虫はカンザワハダニ雌成虫を21匹,ワタアブラムシ1齢幼虫を12匹,4齢幼虫を6匹捕食した。
3) 孵化直後からカンザワハダニで飼育したハナカメムシ雌成虫にミナミキイロアザミウマ2齢幼虫とカンザワハダニ雌成虫とを同時に与えた場合はミナミキイロアザミウマが,カンザワハダニ雌成虫とワタアブラムシ4齢幼虫とを同時に与えた場合はカンザワハダニが先に捕食される確率が高かった。
ワタアブラムシで飼育したハナカメムシ雌成虫にミナミキイロアザミウマ2齢幼虫,ワタアブラムシ4齢幼虫およびミナミキイロアザミウマ2齢幼虫,ワタアブラムシ1∼2齢幼虫を2種ずつ同時に与えた場合では,最初に捕食される確率はどちらもミナミキイロアザミウマが高かった。
野外から採集したハナカメムシ雌成虫にミナミキイロアザミウマ2齢幼虫,カンザワハダニ雌成虫およびワタアブラムシ4齢幼虫を2種ずつ同時に与え餌選択を調べた結果,最初に捕食される確率はミナミキイロアザミウマが最も高く,次いでカンザワハダニとなり,ワタアブラムシが最も低かった。

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