日本応用動物昆虫学会誌
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応力ひずみ計を用いた昆虫の飛翔行動量測定システム
上宮 健吉
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1994 年 38 巻 4 号 p. 261-273

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抄録

昆虫の自発的な連続飛翔における全体的な活動量を自動的に測定する方法と,外的刺激に対する瞬時的な反応の飛翔力を物理的な絶対量として数量的に測定し,さらに刺激に対する逃避飛翔の行動型を図形的に把握して立体的に表示する方法を考察した。
1) 固定飛翔測定法を発展させ,ストレイン・ゲージを応力歪みセンサとし,飛翔行動をアナログ/デジタル変量として連続的に検出する飛翔行動量測定システムを開発した。
2) ゲージセンサの組み立ての違いによって,単一式水平板バネと分力直交式垂直板バネの2つの構成から,垂直方向の検出と前後左右の検出によって,単純な連続飛翔の個体ごとの総飛翔行動量の比較を行い,また,外部刺激に対する瞬間的な反応飛翔力の絶対値および逃避飛翔における立体的な行動型(前進,上昇,下降,旋回,非同期翅振動)を検出する方法を開発した。
3) 飛翔の行動型を,実際の飛翔観察とその時記録した波形変化を対比して類型化することによって,波形のみから行動型が一般化できることを明らかにした。
4) 通常の長時間連続飛翔の測定では,A/D変換によりデータの取込み,統計処理,結果表示をパソコンあるいは専用器によって制御し,自動的な測定を可能とした。
5) 立体的な飛翔行動を把握するため,前後の検出と左右の検出センサを個別にオシログラムとして表示する方法と,両センサを同期掃引してリサージュ図として表す方法によって飛翔行動の変化を強さ,方向,時間経過の3次元要素を同時に行動軌跡として測定比較する方法を提案した。

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