抄録
窒素施用量の異なるポットに水稲を栽培し,水稲茎に対するニカメイチュウ幼虫の選択行動を調べた。各区水稲茎が窒素施用量の多少によって影響を受けていることは,幼虫の飼育結果から明らかである。
窒素施用量の異なる水稲茎葉を幼虫に選択させたところ,幼虫は常に多窒素区に多く食入した。また水稲茎のアルコール抽出物に関する実験でも,幼虫は多窒素区を選好した。以上より窒素肥料は,すでに明らかにされている栄養上の関係だけでなく,幼虫の選択行動に関与する物質の生成にも関係を持つものと考えられる。またアルコール抽出物を含有するろ紙上の食こんからみて,多窒素区水稲茎は少窒素区に比べて摂食促進作用を持つ物質を多量に含む可能性も考えられる。