日本応用動物昆虫学会誌
Online ISSN : 1347-6068
Print ISSN : 0021-4914
ISSN-L : 0021-4914
カキを加害するキクイムシ類の生態ならびにその防除について
上野 晴久
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 4 巻 3 号 p. 166-172

詳細
抄録
1958年よりカキを加害するキクイムシ類について,その種類相,生態ならびに加害様相の調査,防除試験などを行なった結果は次のとおりである。
1) 加害種はハンノキキクイムシXyloborus germanusを優占種とするザイノキクイムシ類がほとんどで,今までに判明したものは2科4属8種に及んでいる。
2) ハンノキキクイムシは成虫態で越冬し,4月下旬カキに飛来,加害せん孔する。1頭の雌が1孔を材質部深くせん孔し,数個の産卵室をつくり,1雌あたり2∼3卵塊,20∼50卵程度産卵する。幼虫頭幅の測定結果よりみると齢期は4齢と思われ,6月下旬には新成虫が孔内に認められる。新成虫は7月上旬には孔外に脱出し始めるが,2化期以後はほとんどカキを加害しない。
3) 被害樹は10年生以下の幼木あるいは著しく樹勢の弱まった木に多い。通常主幹および主枝を加害するが,加害部位は木の状態により変動する。
4) 薬剤による被害防除試験の結果は,ガンマーライトおよびサッチューコートが最もよく,エンドリン乳剤およびリンデン乳剤がこれについだ。
著者関連情報
© 日本応用動物昆虫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top