抄録
シロイチモジマダラメイガの生態と被害について1955∼1959年に関東東山農試において調査を行なった。
当地方では大体年3回の発生である。第1化期成虫の発生は6月上旬∼7月中旬で,エンドウ,極早生ダイズに産卵,加害する。2化期の成虫は7月下旬∼8月上旬に発生し,早生中生ダイズに産卵,加害するが,その発生量は非常に少ない。3化期成虫は8月下旬∼9月中旬頃に発生し,晩生および極晩生ダイズに産卵,加害する。
ダイズほ場における産卵は1化期は6月下旬に始まって7月上中旬に最盛期があり,3化期は8月下旬に始まって9月中旬に最も多かった。幼虫の消長は産卵より遅れて最盛期が現われ,1化期は7月中旬に,3化期は10月であった。2化期は産卵,幼虫ともきわめて少なかった。
2化期の発生が少ない原因としては,1化期成虫の羽化最盛期である6月下旬∼7月上旬には適当な寄主植物がないこと,また1化期幼虫が気温の高い7月下旬にダイズのさや内で多数死亡することが考えられる。
ダイズの被害は開花結実期と本種の発生消長とに深い関連があり,7月上旬頃までに開化するような極早生種は1化期によりはなはだしい被害を受けるが,7月中旬∼8月上旬に開花する早生,中生種は2化期の発生が少ないために被害が軽微である。しかし8月中旬以後に開花する晩生種は再び3化期によってかなりの被害を受ける。