日本応用動物昆虫学会誌
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5 巻, 1 号
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  • 内藤 篤
    1961 年 5 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1961/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    シロイチモジマダラメイガの生態と被害について1955∼1959年に関東東山農試において調査を行なった。
    当地方では大体年3回の発生である。第1化期成虫の発生は6月上旬∼7月中旬で,エンドウ,極早生ダイズに産卵,加害する。2化期の成虫は7月下旬∼8月上旬に発生し,早生中生ダイズに産卵,加害するが,その発生量は非常に少ない。3化期成虫は8月下旬∼9月中旬頃に発生し,晩生および極晩生ダイズに産卵,加害する。
    ダイズほ場における産卵は1化期は6月下旬に始まって7月上中旬に最盛期があり,3化期は8月下旬に始まって9月中旬に最も多かった。幼虫の消長は産卵より遅れて最盛期が現われ,1化期は7月中旬に,3化期は10月であった。2化期は産卵,幼虫ともきわめて少なかった。
    2化期の発生が少ない原因としては,1化期成虫の羽化最盛期である6月下旬∼7月上旬には適当な寄主植物がないこと,また1化期幼虫が気温の高い7月下旬にダイズのさや内で多数死亡することが考えられる。
    ダイズの被害は開花結実期と本種の発生消長とに深い関連があり,7月上旬頃までに開化するような極早生種は1化期によりはなはだしい被害を受けるが,7月中旬∼8月上旬に開花する早生,中生種は2化期の発生が少ないために被害が軽微である。しかし8月中旬以後に開花する晩生種は再び3化期によってかなりの被害を受ける。
  • 2・3化混発地産イネカラバエの発育生態
    岩田 俊一, 岸野 賢一
    1961 年 5 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 1961/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    2・3化混発地におけるイネカラバエの発生生態を知るために,新潟県鹿瀬町産の越冬幼虫を高田へ移し,大曲産および高田産個体群と比較しながら種々の発育生態実験を行ない次のような結果を得た。
    1) 秋越冬寄主植物とともに高田へ移した鹿瀬産および大曲産イネカラバエの翌春における幼虫発育速度,および第1化期成虫羽化時期を高田のものと比較すると,高田が最も早く,鹿瀬,大曲の順に遅れた。
    2) 越冬世代蛹の蛹期間はごく初期に蛹化した個体のうちに高田のものと同程度に短いものが少数見られたが,その他は大曲産と同程度の長期を要した。
    3) 第1化期成虫羽化消長曲線も,越冬世代蛹期間の変異分布曲線も明りょうな2山型とはならず,したがって第1化期成虫を2化性および3化性個体に2群別することはできない。
    4) 第1化期幼虫には高田の個体群のように後期に大並列食痕を出現し,数枚の食葉で蛹化する発育の早い個体と,大曲産のように幼穂を食った後に蛹化する発育のおそい個体の他に,大並列食痕を出現したが幼虫期間の長い少数の個体も見られた。
    5) 第1化期に早期に羽化した成虫からは発育の早い個体が高率で出現し,後期に羽化した成虫からは発育のおそい個体が大部分で,第1化期発育遅延個体の割合はふ化食入時期の遅れる程増大した。
    6) 早発育個体だけについていえば,ふ化時期の早晩にかかわらず幼虫期間30日以下の個体が多数を占めた。
    7) 鹿瀬産越冬幼虫のうち発育速度中位の個体の子世代虫の発育変異と,大曲と高田の交雑F1の発育変異は互いに似ており,ともに発育の早い個体とおそい個体が多く,中間の個体は少なかった。
    8) 鹿瀬個体群および大曲×高田の交雑個体群については両者とも早発育個体群からは早発育個体が,発育遅延個体群からは発育遅延個体がそれぞれ高率で出現し,発育速度の変異について両者相似の結果が得られた。
    9) 上記のことから,鹿瀬産で代表されるような2・3化混発地の個体群は,2化性および3化性個体の自然交雑に由来するものであると推察され,現地における交雑の機会についても言及した。
  • 仲野 恭助, 安部 義一, 武田 憲雄, 平野 千里
    1961 年 5 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 1961/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    山形県河北町の溝延地区では例年ニカメイガによる水稲の被害が,同町の北谷地地区よりも著しく多いことが経験的に知られていたので,その原因を明らかにするため一連の調査を行なった。
    両地区に生息しているニカメイガについて調べたところ,その形態,生態的性質,加害習性などに明りょうな差を認めることができず,両地区の生活環境にちがいのあることが示唆された。
    両地区の土壌を山形農試に運び,水稲を栽培して幼虫を飼育したところ,現地での観察と全く同様の結果が得られたので,両地区における生活環境のちがいは土壌に基因するものであることがわかった。両地区の土壌について詳しく調査した結果,溝延土壌は北谷地土壌に比べ可給態ケイ酸含量が低く,それに応じてここに生育した水稲体のケイ酸含量も低く,その結果として(1)成虫による産卵選好性や幼虫による食入選好性が高く,(2)幼虫に対する抗生作用が少なく,(3)幼虫の加害に対する耐性が低いことが明らかになった。すなわち土壌のケイ酸供給力のちがいが,両地区水稲のニカメイガ抵抗性の強弱を決定し,これがニカメイガの発生量や水稲被害量の多少となって現われていると結論できる。
    以上の結論に基いてケイ酸供給力の低い溝延地区水田にケイ酸石灰を施用し,ニカメイガによる被害を減少させることに成功した。
    更に溝延地区水田がケイ酸供給力の低い原因について検討し,この地帯の土壌が朝日連峰より流出堆積した花こう岩を母材とする土砂からなっていることに基因していると推定した。
  • 日本産花蜂の生態学的研究 XIX
    宮本 セツ
    1961 年 5 巻 1 号 p. 28-39
    発行日: 1961/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Flower-visiting habits of 3 species of the genus Bombus were examined during from spring to autumn of 1951-1959. Nesting or flower-visiting activities were observed till early summer in B. ardens, and till autumn in B. ignitus and B. diversus, respectively. The number of flower-visiting workers became maximum during the periods of April-May in B. ardens, and June in B. diversus and B. ignitus.
    The workers of B. diversus visited flowers of 76 species belonging to 31 families. Particularly, the flowers of Leguminosae, Labiatae and Liliaceae were visited predominantly by this workers. Moreover, they preferred mostly the flowers of Cirsium japonicum, Rosa multiflora, Vicia unijuga, Prunella vulgaris, Trifolium repens, Salvia chinensis, Impatiens textori, Pertya ovata, Astragalus sinicus and Styrax japonica.
    The workers of B. ignitus visited flowers of 24 species belonging to 14 families. The flowers of Leguminosae were visited predominantly by them. These workers preferred mostly the flowers of Trifolium pratense and Vicia unijuga.
    The workers of B. ardens visited flowers of 32 species of 18 families, especially, the flowers of Leguminosae, Rosaceae and Caprifoliaceae predominantly. And these workers rather preferred the flowers of Rosa multiflora, Rhododendron sp., Styrax japonica, Rubus parvifolius and Diospyros Kaki.
  • I 自然温下における卵態越冬ならびに越冬後の発育経過
    竹沢 秀夫
    1961 年 5 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 1961/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    トビイロウンカの卵態越冬を明らかにするため,秋おそくイネに産下させた卵を人為的な湿室内に収容して野外飼育を行ない,自然温下における卵の越冬と越冬後における発育経過について調査した。結果を要約すれば次のとおりである。
    1) 秋おそくイネに産下した卵は野外の自然温状態下で比較的容易に越冬する。越冬卵は翌春自然温の上昇に伴い発育をはじめ4月下旬から5月上旬頃ふ化する。
    2) 越冬卵からふ化した幼虫にイネを与えて継続飼育した結果,越年世代の成虫は5月下旬に羽化し,次世代の成虫は7月に羽化出現することが明らかとなった。
    3) 神奈川県でトビイロウンカが一般水田に飛来する時期は普通7月であり,この成虫は越冬卵に由来する第2世代の成虫であると考えられる。
  • 有賀 久雄, 吉武 成美
    1961 年 5 巻 1 号 p. 46-49
    発行日: 1961/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    5令蚕児を供試してX線照射,紫外線照射ならびにそれらの処理と低温処理とを組合わせた場合に,蚕のウイルス病である膿病および中腸型多角体病がどのように誘発されるかを調べた結果,次のことが明らかにされた。
    1) 5令起蚕のX線照射だけでは2種の多角体病のいずれもが誘発されなかった。
    2) 5令起蚕につきX線処理と低温処理とを併用した場合には,低温処理単用の場合よりも,高い率で2種の多角体病が誘発された。すなわちX線処理は低温処理と組合わせた場合にのみ誘発効果を示した。この場合X線照射は低温処理の前後のいずれの処理でも誘発効果があった。
    3) 5令起蚕にX線照射を行なった後1∼3回給桑した蚕児に低温処理を行なった場合にも,X線の多角体病誘発効果は認められたが,X線照射後冷蔵するまでの経過時間が長く,そして食桑回数の多かったものほど,多角体病の誘発率は無照射冷蔵区のそれに近づく傾向が見られた。
    4) 紫外線は単独照射でも,低温処理と併用した場合でも,5令起蚕処理での多角体病の誘発効果は認められなかった。
    5) X線処理による誘発効果は,細胞内にあると考えられる潜在性ウイルスへの直接的な影響によるものではなく,潜在性ウイルスの誘発に関係する細胞原形質への影響によるものと考えた。
  • 大島 格
    1961 年 5 巻 1 号 p. 50-57
    発行日: 1961/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1産卵台紙の母蛾をかきまぜて病蛾の分布を簡単に整一にすることができる母蛾混和機を試作してその機構を発表する。
    この混和機は母蛾混和部と蛾鱗吸引部からなる。
    前者は3段変速の段車により回転速度を3段に替えることができる。ドラム中には45度の角度にかきまぜ羽根がはめ込まれ,これによってドラム1回転ごとに母蛾は2回混合される。ドラムの後部にはファンが内蔵され,その吸引力によって蛾鱗が吸引され,蛾を鏡検しやすくすると同時に重症蛾の蛾鱗の胞子による健蛾の汚染を防ぎ,かつ鱗毛の室内飛散を防いで作業者の衛生を保たせている。
    後者は母蛾混和部から出た蛾鱗をゴム製輸送管を経て収容する部分である。吸引槽には水が入れられ,大なる鱗片は水中に沈澱し,細かい鱗毛は上部にふたを備えた側面さらし布張り円筒状容器に収容される。この布はまた空気を吐き出す役をしている。
  • II. 羽化因子について
    玉木 佳男
    1961 年 5 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 1961/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    前報において合成飼料によるコカクモンハマキの無菌飼育法について述べ,更に飼料中の茶葉粉末が幼虫の生育を促進する効果をもつとともに,成虫の羽化に必須な因子を含んでいることを推定した。本報ではこの羽化因子を明らかにするため行なった一連の実験結果を報告する。
    飼料中に茶葉粉末を欠くと幼虫の生育は著るしく劣り,大部分が幼虫末期に死亡して蛹になるものはほとんどない。茶葉粉末含量が増加するにしたがって幼虫の生育は良好になり,また正常成虫の発現率は上昇する。その最適含量は幼虫の生育,正常成虫の羽化のいずれに関しても,飼料乾物中の22.4%以上である。
    茶葉粉末の各分画での飼育試験の結果,幼虫の生育促進因子は熱水で抽出されるがエーテルには全く溶解せず,一方成虫の羽化因子は熱水には溶解しないがエーテルではかなり抽出されることが判明した。すなわち,これら二種の因子には化学的性質を異にする別々の物質が関与していると考えられる。
    成虫の羽化因子として脂肪および脂肪酸の効果を検討した結果,茶葉粉末は羽化効果に関するかぎり飼料乾物中0.7∼2.8%のアマニ油で完全に代用でき,更にアマニ油は0.14∼0.56%のリノレン酸で置き換えうることが判明した。一方オリーブ油,ステアリン酸,オレイン酸,およびリノール酸は効果をもたなかった。
    以上の結果から,コカクモンハマキはその成虫の羽化のために,飼料中に不飽和脂肪酸の一種,リノレン酸を要求すると結論できる。
  • 青木 淳一
    1961 年 5 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 1961/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1959年4月より一年間,東京都下北多摩郡国立町において,植生を異にする林下の土壌中のササラダニ相の調査を行なった際,7新種を発見したので以下のごとく命名記載した。Epilohmannia ovata n. sp.ヒョウタンダニ(ヨコミゾヤマダニ科),(2) Cryptacarus hirsutus n. sp.ケブカツツハラダニ(ツツハラダニ科),(3) Nanhermannia parallela n. sp.ホソツキノワダニ(ツキノワダニ科),(4) Suctobelba naginata n. sp.ナギナタマドダニ(モリダニ科),(5) Cultroribula lata n. sp.マルタマゴダニ(タマゴダニ科)(6) Anachipteria grandis n. sp.ハネカブトダニ(カブトダニ科),(7) Ceratozetes japonicus n. sp.ヤマトコバネダニ(コバネダニ科).これで現在までにわが国から見出されたササラダニは26科45属57種となった。なお,本調査における異植生土壌中のササラダニ相の生態学的研究は次報にて発表する予定である。
  • 宮尾 嶽雄
    1961 年 5 巻 1 号 p. 70-72
    発行日: 1961/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 高井 昭
    1961 年 5 巻 1 号 p. 72-73
    発行日: 1961/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 石川 誠男
    1961 年 5 巻 1 号 p. 73-75
    発行日: 1961/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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