日本応用動物昆虫学会誌
Online ISSN : 1347-6068
Print ISSN : 0021-4914
ISSN-L : 0021-4914
多数のほ(圃)場集団におけるニメカイチュウとその被害の分布構造
小林 淳二平松 寛
著者情報
ジャーナル フリー

1961 年 5 巻 2 号 p. 114-121

詳細
抄録
ほ場群を対象としてみた場合のニカメイチュウ被害の分布実態を知るため,1957∼8年には予察燈を中心とする半径300mの円周内水田,1959年には和歌山県日高川下流平野1500ha,1960年には紀の川下流紀伊地区において,ニカメイチュウ第1化期被害盛期(7月中旬),第1化期末期(8月中旬)および第2化期幼虫分散後(10月中旬)の被害株,被害茎または幼虫数を調査した。
1) 第1化期被害盛期においては第2化期の場合ほど場所間における密度差は著しくないが,広い地域を対象として見るときは数百haという大きな場所を単位として被害株率で6∼9倍の密度差が認められた。1959年の調査では概して平坦広遠地に少なく,傾斜地など地形の複雑なところに多い。
2) 第1化期末期においてはパラチオン剤の散布と環境抵抗により著しく密度は低下するが,パラチオンの2回散布も第1化期被害盛期の密度差を破壞するほど強力に働かない場合が多い。
3) 第2化期においては必ずしも第1化期末期の密度差がそのまま再現されないで,この時期独特の分布が見られ,毎年定まった場所に集中塊状化した分布が示された。
著者関連情報
© 日本応用動物昆虫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top