日本応用動物昆虫学会誌
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農薬の微量定量用供試生物としてのモツゴとヒメダカ
橋本 康菅原 寛夫
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1961 年 5 巻 2 号 p. 145-150

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抄録
淡水魚モツゴとヒメダカの農薬微量定量用供試生物としての適性を検討した。まずその感受性を調べるため,各種農薬を作用させたところ,両種とも有機塩素剤の多くとその他数種の農薬に特に敏感であることが明らかになった。また有機リン剤に中毒した魚のなかには腹部が屈曲し,その屈曲した部分に内出血の認められる個体が多数観察され,抗生物質に中毒した魚は興奮,けいれん状態を経過せずに死んでゆくなど,薬剤の種類により特異的に反応することも認められた。よって,これらの特徴を利用して次のような微量定量を試みた。すなわち
(1) モツゴを用いてPCPの水中における分解過程を追跡し,この分解の要因を調べた。
(2) 同じくモツゴによってカキとカンランに散布したエンドリンの残留試験を行ない,その分解過程を調べた。
(3) ヒメダカとミジンコのパラチオンに対する感受性の差を利用して,パラチオンにより汚濁していると考えられた池の水を検定した。
これらの試験はいずれも良好な結果を得たので,両種とも供試生物として使用できる可能性が高いと判断された。
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