日本応用動物昆虫学会誌
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ニカメイガ第2世代幼虫の水稲茎内における生息部位
内藤 篤
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1964 年 8 巻 2 号 p. 106-110

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抄録
1. ニカメイチュウ第2回成虫の産卵は,主として葉舌に近い葉裏に行なわれるが,一部は葉の表や葉鞘にも行なわれる。葉位別にみると第3葉は最も多く,第2葉と第4葉がこれに次ぎ,止葉と第5葉には少ない。
2. 一般に上位の葉に産卵されたものは,茎内へのふ化幼虫の食入部位が高く,下位の葉では低い傾向を示すが,第4葉の場合はむしろ第3葉の場合より食入部位が高い。
3. 幼虫の茎内における生息部位は,ふ化食入後の時間の経過,すなわち幼虫の生育にともなって徐々に降下し,最終令期には最も低い位置を占める。生息部位の低下は,幼虫の分散期に顕著にみられる。
4. 圃場における幼虫の令構成および生息部位と,水稲の熟期とは密接な関係があり,熟期の早いものはおそいものより令構成が進んでいて,生息部位が低い。このことは,成虫の産卵選択性と,出穂以後に食入した若令幼虫の死亡率が高いこと,および幼虫の生育の速さのちがいなどが関係しているように思われる。
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