日本応用動物昆虫学会誌
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数種鱗翅目昆虫の核多角体病ウイルスに関する電子顕微鏡的研究
有賀 久雄福原 敏彦福田 章一田中 茂男
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1964 年 8 巻 3 号 p. 222-226

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抄録
シンジュサンとサクサン幼虫の真皮細胞において,ウイルス感染の初期に核の中央部にクロマチンの塊りが現われ,それに桿状のウイルス粒子が数多く附着しているのが見られた。これらのウイルス粒子は単独で存在し,発育膜に包まれていないが,核の周辺部に存在するウイルス粒子は数本ずつ束になり,束のまわりに発育膜が形成されていた。これらの束が数個集まった部分に形成初期の多角体の像が認められた。感染の末期には核内に多角体が充満し,中央部にあったクロマチンの塊りは大部分消失していた。多角体に含まれているウイルスの粒子は,いずれも束になっていて,発育膜に包まれていた。カイコやサクサンのウイルスをシンジュサン幼虫に接種した場合には,真皮細胞核内のウイルスの形態は本来の宿主で増殖した場合と同様であった。アメリカシロヒトリのウイルス粒子は桿状で数本のウイルス粒子が束になって多角体中に含まれていた。
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