家族介護者が感じる介護への否定的評価に対して,緩衝効果および軽減効果を介護者資源から検討することを目的とし,主介護者550人を対象に郵送調査を行った.従属変数は否定的評価を構成する3つの下位尺度,独立変数はストレッサーである問題行動数,介護者の資源とし,二元配置の分散分析を行った.分析の結果,「社会活動制限感」に対しては,主観的健康度,「高齢者への親近感」および社会的活動が軽減効果を,副介護者および訪問看護の利用が部分的な緩衝効果を示した.「介護継続不安感」に対しては,主観的健康度,すべての肯定的評価および社会的活動が軽減効果を,副介護者が部分的な緩衝効果を示した.「関係性における精神的負担感」に対しては,「高齢者への親近感」のみが軽減効果を示した.
以上のことから,介護者は外的資源だけでなく,肯定的評価のような内的資源によっても自らをエンパワーできることが示唆された.